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しもんきん05/02/05(土)23:44:32 No.23153110
身を切るような寒さだった。コタツが懐かしいが言うてもおられぬ。 この世に生まれて数年間、野良をしていた私にとって野宿も餌探しもさして苦ではない。 しかしあの気の弱い同居人はこの様な生活に耐えられるものだろうか。 ―思えば、野良をしていた私に手をさし出してくれたのも「」であった。 縄張り争いに負け、雨の中行くあても無く歩いていた私に声をかけたのが「」だった。 「ど、どうしたんですかメドイさん、そんなびしょ濡れになって」 「こんな雨の日なのに、傘をさすのもめどかったんですか?」 「濡れた体を拭く方がめどいに決まってるじゃないですか、まったくもう…」 「あなただけの体じゃないんですから、もう少し自分の体を大切に…」 「あぁどこ行くんですか話は途中ですよメドイさん、メドイさんメドイさんメドイさん…」 「」はいつでも私に優しかった。 いつも奴は私を探していたが、私が奴を探すのは初めてだという事にふと気がついた。
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