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しもんきん05/02/06(日)00:20:01 No.23155438
「」が漕ぐ自転車の籠に入るのが好きだった。 だが今こうして歩き回る町は噂に聞く沙漠とやらの様に広く寂しく思えた。 彼と一緒に出かけたところはすべて探しまわった。商店街では食事をもらった。 店員や客たちの話から推測される「」の運命はあまり芳しくなかった。 月に2度ばかり通っていた町外れの白い大きな建物にも赴いてみた。 アハハハハと笑う女性に接吻された。が、どうもここにも彼はおらぬらしい。 ―頭では理解しているのだが、心の底でどうしても認めたくなかった。 この町ではもう「」に会えぬだろう、という事を。 しかし私は諦めたくなかった。 ぬこには9つの命があるという。 ならばその残りのどれか一つで、私は再び「」に会いたかった。 …日向ぼこが終わればまた駅の方へ行ってみよう。「」が戻ってくるかもしれない。 最近はどうも以前ほど身体が軽くない。 もう少しまどろんでいよう。
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